こんばんは、細野カレンです。
アドベント23日目、今回は夏のオーストラリアを舞台にした、幻想的でロマンチックな物語をお届けします。真夏のグレートバリアリーフで泳ぐ雪だるまと、神秘的な存在との出会い――そんな不思議なクリスマスの一夜をお楽しみください。
真夏の雪だるま
クリス、南の海へ
クリスは、北の寒い国で生まれた特別な雪だるまでした。けれど彼は、どんなに美しい雪景色にも心を奪われることはありませんでした。彼の心の中にはいつも「青い海」という見たこともない場所への憧れがあったのです。
ある冬の夜、星に願いをかけたクリスは、次の瞬間、オーストラリアのグレートバリアリーフにいました。眩しい太陽の下、色とりどりの魚たちが泳ぎ回る、美しい海の中です。
しかし、クリスにとって問題がありました。溶けてしまわないよう、特別な魔法が彼を守っていましたが、彼は冷たい雪の体で暖かな海に溶け込むことができず、海底で一人ぼんやりと浮かんでいました。
人魚ナイアとの出会い
そのとき、遠くから美しい歌声が響きました。歌声の主は、海の奥深くから現れた人魚のナイアでした。青緑の髪に輝く鱗を持つ彼女は、クリスを見て驚きました。
「あなた、どうしてこんなところにいるの?」とナイアが問いかけると、クリスは憧れを語ります。「僕はただ、青い海を見たかったんだ」と。
ナイアは笑って言いました。「海は自由だけど、ここにいるだけじゃ本当の美しさはわからないわ。一緒に泳ぎましょう。」
ナイアに手を引かれたクリスは、彼女とともにグレートバリアリーフを巡ります。サンゴ礁の間を縫い、輝く魚たちと遊び、月の光が反射する静かな海面を見上げる――すべてが彼にとって夢のような時間でした。
消えない温もり
クリスは次第に、自分がここで永遠に生きられないことを感じ始めます。それでもナイアは、彼がこの瞬間を楽しむよう励まし続けました。
「たとえ短い時間でも、特別な思い出は心に残るのよ。」
彼らが共にクリスマスの夜を過ごし、最後にナイアが彼に渡したのは、小さなサンゴの欠片でした。「これを持っていれば、いつでも私を思い出せるわ」と彼女は微笑みました。
別れと新たな願い
魔法が解ける朝、クリスは再び北の寒い国へ戻っていました。けれども、彼の胸にはサンゴの欠片が輝き、心にはナイアとの思い出がしっかりと刻まれていました。そしてクリスは新たな願いを星にかけました。
「いつか、またナイアと会えますように。」
その願いがかなう日はまだ遠い未来かもしれません。でも、クリスは知っています――特別な思い出は、寒い冬でも心を温め続けるのだということを。
図案の紹介
この物語にちなんだ雪だるまの図案をご紹介します。真夏の海での冒険を想像しながら、このデザインを編んでみてはいかがでしょうか。きっとあなたの心を温かくしてくれるはずです。
クリスマスが特別な思い出とともに、あなたの心を温める日となりますように。