こんばんは、細野カレンです。
アドベント21日目、今夜の物語は、大正期の神戸を舞台にした友情の物語です。日本の商家の娘と西洋から来た女性が紡ぐ、異文化を超えた絆の物語をお楽しみください。
大正の神戸に咲く四葉の物語
神戸の港町にて
大正時代の神戸。港町は日本と西洋の文化が混ざり合う独特の風景を持っていました。華やかな洋館が並ぶ居留地には、和洋折衷のファッションを身にまとった人々が行き交い、英語やフランス語が日常的に飛び交っています。
凜は、そんな町で暮らす商家の娘でした。日々家業を手伝う合間に、彼女には一つの楽しみがありました。それは、近くの野原で四葉のクローバーを探すこと。
「四葉のクローバーを見つけたら、幸せになれるって言うものね。」
凜はそう信じ、野原を歩き回る日々を過ごしていました。
出会い
ある日、凜は野原でクローバーを探している最中、スケッチをしている西洋人女性を見かけました。鮮やかな金髪に青い瞳を持つその女性は、何かを真剣に描いていました。
「探しているのはこれ?」
凜が差し出したのは、四葉のクローバー。女性は目を見開いて微笑み、ぎこちない日本語で答えました。
「ありがとう…すごいね。私、ソフィアです。」
その日から二人は言葉の壁を越えて友情を育みました。凜は日本文化をソフィアに教え、ソフィアは自身のスケッチで世界を語りました。
試練と絆
しかし、ある日、ソフィアが凜に見せたスケッチが原因で、二人の関係に影が差します。そのスケッチには凜の家が細部まで描かれており、それを見た地元の人々が不信感を抱いたのです。
「西洋人があんなに細かく描くなんて、何か企んでいるに違いない。」
その噂が広がり、凜も戸惑いを隠せませんでした。意を決してソフィアに尋ねると、彼女はスケッチブックの間から一枚の押し花を取り出しました。それは四葉のクローバーでした。
「凜、私がこの街に来たのは、父がこの土地の建築を研究していたから。でも彼はこの街を好きになれなくて…それでも、あなたの家を見たとき、初めて『美しい』と言ったの。」
ソフィアはスケッチに描かれた四葉のクローバーを指さしました。
「このクローバーをあなたの家のそばで見つけたの。それを父に話すと、『幸運の証だ』って笑った。だからこの絵は、父の思い出と私自身の幸運を重ねたものなの。」
凜はその言葉に心を打たれました。スケッチに描かれたクローバーが、二人の絆を象徴していると感じました。
クリスマスの奇跡
クリスマスイブ、ソフィアは凜を自宅に招待しました。洋館には煌びやかなクリスマスツリーが飾られ、部屋には甘い香りが漂っています。ソフィアは凜に一枚のスケッチを手渡しました。
「これはあなたへの贈り物。」
それは、二人が出会った野原と四葉のクローバーを描いたものでした。
「あなたのおかげで、この街が私にとって特別な場所になったの。」
凜は感激し、そっとスケッチを抱きしめました。
図案の紹介
この物語にちなんだ、四葉のクローバーの図案をご紹介します。友情と希望の象徴として、このデザインがあなたのクリスマスを特別なものにしてくれることを願っています。
クリスマスは、心をつなぐ時間です。この物語があなたの友情や絆を思い起こさせるきっかけになれば幸いです。