こんばんは、細野カレンです。
アドベント17日目、今夜の物語は愛と再会がテーマです。神戸の街を舞台に描かれる、心温まるクリスマスの奇跡をお届けします。リースに飾られたヤドリギが二人をつなぐ…そんなロマンチックなお話です。
ヤドリギの下で
クリスマスイブの夜、神戸の街は煌びやかなイルミネーションに包まれていました。港町に広がる光の海が、人々の心を温かく灯していました。その街を一人歩くミユキの心には、別の灯がともっていました。10年前に別れた初恋の人、タツヤの面影です。
タツヤとは大学時代に出会い、クリスマスにはよくこの街を歩きました。けれど、夢を追いかけるために海外へ旅立った彼とはその後疎遠になり、いつしか連絡も取らなくなりました。それでも、思い出の街を歩くときだけは、心の片隅で彼を想ってしまうのです。
その夜、ミユキは港近くの小さな教会を訪れました。その教会には毎年大きなリースが飾られ、その中央にはヤドリギが輝いています。彼女が目を閉じ、静かに祈りを捧げていると、背後から声がしました。
「ミユキ…?」
振り返ると、そこに立っていたのはタツヤでした。スーツケースを手に持ち、まるで長い旅を終えたばかりのような姿です。信じられない思いで立ち尽くすミユキに、タツヤは少し照れくさそうに微笑みました。
「久しぶりだね。この教会で君が祈っているのを見たとき、夢じゃないかと思ったよ。」
実はタツヤがこの教会に来たのには理由がありました。それは10年前、二人が別れる前に交わした小さな約束でした。
「10年後のクリスマスイブ、もしお互いがまだ独りだったら、ここでまた会おう」
その言葉を胸に、タツヤは世界中を旅する日々の中でも、ミユキのことを忘れることはありませんでした。彼の夢は成功を収め、そして10年後、ミユキと共に新しい未来を築くことを心の支えとしていました。そして10年目のクリスマスイブ、タツヤはその約束を果たすために帰国し、この教会を訪れたのです。
「どうしてここに?」ミユキが問いかけると、タツヤは少し照れくさそうに答えました。
「約束を忘れたことはなかったよ。」
ヤドリギの下、二人は思い出話に花を咲かせながら、少しずつ心の距離を縮めていきます。そして、クリスマスベルが夜空に響く頃、タツヤは言いました。
「ミユキ、もう一度、君とこの街で新しい物語を紡ぎたい。」
彼女の目に涙が浮かび、静かに頷きます。ヤドリギの下で交わされた二人の想いが、冷たい冬の夜に温かな奇跡を運んだのでした。
この物語にちなんだ、ヤドリギを飾ったリースの図案をご紹介します。クリスマスの象徴でもあるリースが、心にぬくもりを届ける作品になりますように。特別な夜にぴったりのこのデザインは、ぜひあなたの手で編み上げてください。
「あなたにも、誰かとの特別な再会がありますように。この物語と図案が、そんな素敵な奇跡のお手伝いになりますように。」